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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
電車を降り徒歩で家路に着く、冬休み最終日の夕方。
日は既に傾き始めている。
風も割と強い一日だったから、気温も結構下がってきてる。
冷たい北風が、更に後悔の念に拍車を掛ける。
どうしよう-でももう、どうしようもない。
してしまったものは仕方ない-了承の印(しるし)。
でも。
いい意味に捉えるのならば、決別する切っかけ。
忘れるいい契機となるかもしれない。
頭の中で様々、思い巡らす。
「泉夏ちゃん」
歩を進める自分をどこからか呼ぶ、聞き慣れた声。
辺りを見回し-程なく、彼の目線と繋がる。
瀟洒な家の二階。
この寒いのに窓を全開にし、窓際に気怠げに立っている。
右手には風になびき、白煙立ち昇るセブンスター。
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