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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
この家に来ると、いつも熱烈に歓迎される。
それは昔も今も、全く変わらない。
家族全員で喜んで迎えてくれるけれど、やはり筆頭は百合子だった。
「泉夏ちゃんが来てくれるなんて、凄く嬉しい」
キッチンで夕飯の準備をしていたであろう彼女は、思いもかけず現れた泉夏に包丁を放り出して駆け寄って来た。
かなり無造作に包丁を投げてるように見えたので、逆にこちらが怪我しないかなと心配になったほどだ。
「ごめんね、夕ご飯の支度してる時間に。ちょっと呼び止められて来ただけだから-」
すぐ帰る-言おうとしたのに、百合子に即座に遮られる。
「そうだ、お夕飯一緒に食べていって。小さな頃はよく、そうしてたじゃない。久し振りにいいでしょ?」
「え、でも、あの…」
多分と言うか-家でも母親が準備してる最中(さいちゅう)のはずだった。
「悪いけど絢子さんに電話してもらえる、泉夏ちゃん?」
やんわり断ろうとしたのだが-にっこり微笑まれ。
結局『ご飯を御馳走になってから帰る』と、母親にスマホで連絡する羽目となった。
それは昔も今も、全く変わらない。
家族全員で喜んで迎えてくれるけれど、やはり筆頭は百合子だった。
「泉夏ちゃんが来てくれるなんて、凄く嬉しい」
キッチンで夕飯の準備をしていたであろう彼女は、思いもかけず現れた泉夏に包丁を放り出して駆け寄って来た。
かなり無造作に包丁を投げてるように見えたので、逆にこちらが怪我しないかなと心配になったほどだ。
「ごめんね、夕ご飯の支度してる時間に。ちょっと呼び止められて来ただけだから-」
すぐ帰る-言おうとしたのに、百合子に即座に遮られる。
「そうだ、お夕飯一緒に食べていって。小さな頃はよく、そうしてたじゃない。久し振りにいいでしょ?」
「え、でも、あの…」
多分と言うか-家でも母親が準備してる最中(さいちゅう)のはずだった。
「悪いけど絢子さんに電話してもらえる、泉夏ちゃん?」
やんわり断ろうとしたのだが-にっこり微笑まれ。
結局『ご飯を御馳走になってから帰る』と、母親にスマホで連絡する羽目となった。

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