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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
「俺としてみる?」
「…何を?」
「キスに決まってる」
「はっ?」
思わず、訊き返す。
「え、なにそれ?」
乾いた笑いが漏れた。
「不幸だとか後悔してるとか言ってるから、今怖がらせたお詫びも込めてなかった事にしてあげようかなって」
龍貴の扇情的な眼差しに、泉夏は激しく動揺する。
「そんなお詫び聞いた事ないし…っ」
遠慮しとく-固辞しようとし、出来なかった。
細い顎先を指で支えられ、顔を上げさせられる。
龍-泉夏の顔が強張る。
「…冗談でしょ」
掠れた声で強がってみせるが、なんの意味も成していなかった。
龍貴がなんの躊躇いもなく近づき、ふたりの距離は一気に縮まった。
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