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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
どのくらいそうしていたか-マナーモード中のスマホを確認すれば、結構な時間が経っていた。
いけない-泉夏は腰を上げた。
本を棚に戻し、お手洗いに行って、そろそろ勉強を始めないと。
なんてったって、今日は帰りにお店に行くんだから。
余計な時間を使っていられない。
いつもいつも同じ色を重ねてきたから、今までは選ぶ必要なんてなかった。
でも今日からは違う。
私、もう決めたんだから。
決心が鈍らないうちに、選ぶんだから-薄桃色以外の色を。
スマホとお財布、本を抱え、文学の棚に向かう。
ひとつ。
ふたつ。
みっつめ-。
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