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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
その方がいい。
どうかそうでありますように。
なんで。
どうして。
今更。
今頃。
新しいネイルを選ぼうとした矢先の、今日に。
図書館を出て、ひたすら走る。
走り続ける体力も、もう残っていない。
足を止めたい。
止められるものならそうしたい。
でも万が一、もしもあのひとが追って来てるとしたら。
どうしたらいい?
もう、ほんとに走れない。
泣き出しそうな泉夏の視線の端に、薄桃色の木が見えた。
最後の力を振り絞り、彼女はそこを目指した。



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