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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
スマホと財布を掻き集めるので精一杯だった。
本も気にはなったけれど、そこまで手を伸ばせなかった。
その時間もなかったし-そのひとの一番近くまで滑り落ちてしまっていたから。
もつれそうな両足を堪え、なんとか走り出す。
そのひとが動く気配を、ほんの僅か背後に感じた。
閲覧室を出て、スロープを下る。
もっと早くにここを抜け出したい。
でもこの震える足では、これ以上のスピードは無理だった。
一刻も早くこの場所から去ってしまいたい。
後ろから誰かが追って来ているのか、来ていないのか-それすら定かじゃない。
振り返る事も。
立ち止まる事も。
両方、出来なかった。
もしかしたら、追って来てないかもしれない。
勘違いかもしれない。
本も気にはなったけれど、そこまで手を伸ばせなかった。
その時間もなかったし-そのひとの一番近くまで滑り落ちてしまっていたから。
もつれそうな両足を堪え、なんとか走り出す。
そのひとが動く気配を、ほんの僅か背後に感じた。
閲覧室を出て、スロープを下る。
もっと早くにここを抜け出したい。
でもこの震える足では、これ以上のスピードは無理だった。
一刻も早くこの場所から去ってしまいたい。
後ろから誰かが追って来ているのか、来ていないのか-それすら定かじゃない。
振り返る事も。
立ち止まる事も。
両方、出来なかった。
もしかしたら、追って来てないかもしれない。
勘違いかもしれない。

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