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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
ページを捲る手。
白く、強く握り締めたら儚く折れてしまいそうな-か細い手首。
その指先には、薄い桜色がそれは綺麗に塗られていて。
次の瞬間はもう指ではなく、そのひとの横顔を見ていた。
肩の辺りでちょうど切り揃えられた、艶やかな黒髪。
その髪の毛が俯き加減の彼女の顔を半分、隠してしまっていた。
何か月振りかにもかかわらず。
昨日はほんの数秒、垣間見るしか叶わなかった。
自分が今日一日待ち続けた彼女かどうかを確信するには、もう少しその髪を-。
そんな切なる心の声が届いたかのように、そのひとは顔を静かに上げた。
その細い指先で、掬った髪を右の耳朶にかけ、ゆっくりとこちらを向いた。
こんなに間近で。
こんなに見つめ合う。
そんな日がまた来るなんて。
込み上げるものに、胸が熱くなる。
白く、強く握り締めたら儚く折れてしまいそうな-か細い手首。
その指先には、薄い桜色がそれは綺麗に塗られていて。
次の瞬間はもう指ではなく、そのひとの横顔を見ていた。
肩の辺りでちょうど切り揃えられた、艶やかな黒髪。
その髪の毛が俯き加減の彼女の顔を半分、隠してしまっていた。
何か月振りかにもかかわらず。
昨日はほんの数秒、垣間見るしか叶わなかった。
自分が今日一日待ち続けた彼女かどうかを確信するには、もう少しその髪を-。
そんな切なる心の声が届いたかのように、そのひとは顔を静かに上げた。
その細い指先で、掬った髪を右の耳朶にかけ、ゆっくりとこちらを向いた。
こんなに間近で。
こんなに見つめ合う。
そんな日がまた来るなんて。
込み上げるものに、胸が熱くなる。

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