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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
とっても。
とっても。
聞きたくなんかないけれど-。
秀王は重い溜め息を吐いた。
話さないつもりだった。
でも彼女に誘(いざな)われるようについ、喋り始めてしまった。
彼女が最後までと言うのならもう、続けるしかなかった。
「…逢いたいと思って来たものの、逢える保証なんて全然なかった。連絡先は…知らないわけじゃなかったけれど、色々あって気軽に連絡なんか出来る間柄じゃなかったし。だから当然、待ち合わせる事も出来ず。どこに行けばそのひとがいるのかも全く見当がつかない。…つくづく自分は彼女の事を何も知らなかったと、改めて思い知らされた」
心が刃物で引き裂かれるようだった。
震える唇を噛み締めて、どうにか堪えているけれど。
涙が零れ落ちるのは最早、時間の問題だった。
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