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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「いい加減ふざけるのやめて。からかわないで。十も年下の女の子なんて、龍貴にとって対象外もいいとこでしょ」
手に収まったままだった煙草とライターを、乱暴に放り投げてやる。
難なく受け取った龍貴の口角が、意地悪く上がった。
「まさか。犯罪を犯したくないから女子高生は我慢するけど、女子大生はなんの問題もない」
「降りる!降ろして!大声出すからねっ」
「ロックはとっくに外してあるからご自由にどうぞ」
「…!」
泉夏は怒りに顔を真っ赤にさせ、ドアハンドルに手をかけた。
そのまま勢いよく出て行くのかと思いきや-彼女の動きが止まった。
「泉夏…?」
遊び過ぎたか-女性を泣かす事は大いにポリシーに反する龍貴は、内心びびる。
「…本当に?」
「え?」
「本当に私、龍から見て、恋愛対象に入ってる?」
真摯な泉夏の問いに、流石の龍貴もすぐに言葉が出てこない。
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