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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
-馬鹿な事、言わなきゃ良かったな。
着信を告げる画面表示に、泉夏は小さな息を漏らした。
待ち合わせの時間が過ぎてもなかなか来ない泉夏を心配して、麻衣から電話がきたのが午前中の事。
我に返り。
お礼もそこそこに龍貴の車を降り、映画の上映には無事間に合った。
それからランチを食べ、ウィンドウショッピングをしたり、お茶したり、夕飯に間に合う時間に帰宅したのだけれども。
ちょうど見計らったかのように、彼からの着信-まあ、予想は十分してたけど。
一分も待たず再びアイフォンに表示される、着信。
気分が重くなる-自分が余計な事を口走ったからだけど。
「泉夏、ご飯よ!」
階下(した)から母親の呼ぶ声。
「今、行く!」
机の上にスマホを残し、泉夏は階段を駆け降りた。


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