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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
食事を済ませ自分の部屋に戻った泉夏は、スマートフォンを見てぎょっとした。
着信履歴が二十回以上着いている。
「…ストーカーかっつーの」
正直多少の怖さを感じない事もなかったが-彼ならば、やる。
納得いかないまま、疑問のまま、次の日まで気になる事を持ち越したりは絶対、しない。
どうしようか-いや、電話に出ればいいのは分かっているけれども。
とりあえず考えを巡らせていると、またしても着信。
画面をじっと見て、数秒後。
覚悟を決めて、人差し指で通話ボタンに触れた。
「やっと帰って来たか?」
「…」
「俺の着信を無視するなんて、百万年早いって知らなかった?」
「…」
「お前の部屋に俺が行くのと、俺の部屋にお前が来るの、どっちか好きな方を選ばせてやる」
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