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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
「…あのさ」
龍貴は軽く溜め息を吐いた。
「いつまでそうしてるつもりなの?」
家まで迎えに行った直後からずっと、車の左側のドアにぴったり身体を密着したままの泉夏に龍貴は顔を顰める。
「なんにもしないって言ったじゃん。そんな警戒しなくても」
「…多分って付け足した」
「冗談だ。真に受けるな」
「冗談に聞こえない」
もう一度、嘆息。
「今日珍しくジーンズなのも俺対策なの?ひょっとして」
龍貴はハンドルを握りながら、泉夏に問いかける。
季節を問わず殆どをスカートで過ごす彼女を知ってるので、今日は珍しいなと思っていたが。
龍貴はもしかしてと考え当たる。
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