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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
「お前に軽蔑されるような事はもうしないって、誓ったはずだけど」
「…でも、した」
「え?」
「でもしたじゃん。キ…!」
泉夏は勢いづけて龍貴を見る。
しかし、その言葉を最後まで言う勇気のない泉夏は結局、口を噤んでしまう。
運転中の龍貴の整った横顔が途端、意地悪く歪む。
「キスを?」
なんの迷いもなく言われ、泉夏は恥ずかしさに俯いてしまう。
「押し倒して襲うような真似は、ふざけてでももうしないとは確かに言ったけど。それにキスは含まれてないよね」
「…しかも舌入れた」
恨めし気に呟く泉夏に、龍貴は鼻で嗤った。
「そんなどうでもいい事、いつまで言ってんのお前。伊東君のはただの挨拶。入れるのが普通なんだよ」
分かったか-赤信号で車を停車させた龍貴は、泉夏に同意を求める。
そんなものを求められても困る泉夏は答えられない。
その代わり、自らが最も訊きたかった事を彼にぶつける。
「…でも、した」
「え?」
「でもしたじゃん。キ…!」
泉夏は勢いづけて龍貴を見る。
しかし、その言葉を最後まで言う勇気のない泉夏は結局、口を噤んでしまう。
運転中の龍貴の整った横顔が途端、意地悪く歪む。
「キスを?」
なんの迷いもなく言われ、泉夏は恥ずかしさに俯いてしまう。
「押し倒して襲うような真似は、ふざけてでももうしないとは確かに言ったけど。それにキスは含まれてないよね」
「…しかも舌入れた」
恨めし気に呟く泉夏に、龍貴は鼻で嗤った。
「そんなどうでもいい事、いつまで言ってんのお前。伊東君のはただの挨拶。入れるのが普通なんだよ」
分かったか-赤信号で車を停車させた龍貴は、泉夏に同意を求める。
そんなものを求められても困る泉夏は答えられない。
その代わり、自らが最も訊きたかった事を彼にぶつける。

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