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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
「泉夏」
龍貴の、自分を呼ぶ声がする。
気まずい泉夏は、どうしても窓から顔を離す事が出来ない。
「泉夏」
もう一度。
龍貴は、彼女を求めた。
「…なに」
刺々しくなってしまう。
どうせろくでもない事を言われるに決まってる-泉夏の胸の中を、増々黒い雨雲が覆ってくる。
「泉夏。こっち向いて」
「…やだ」
「なんで」
「…からかうもん」
「するわけないじゃん、そんな事」
一笑し。
こんな真昼間のコンビニの駐車場で、言うのもどうかと思うけど-龍貴は前置きして続けた。
「愛の告白する時ぐらい、顔見て言わせろ」
思いも寄らない龍貴の言葉に、泉夏は彼を振り返った。
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