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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
泉夏は信じられない面持ちで、龍貴を見つめた。
そんな風にそこまで自分の事を考えてくれてたなんて、ちっとも知らなかった。
でもさあ-龍貴は彼女を一瞥し、独り言のように告げた。
「放置プレイがどうこう言い出すから、喋らないわけにはいけなくなって?」
「そ、それはっ…!」
赤面し、泉夏は反論を開始する。
「それは誰のせいだと思ってるのよっ?」
「でた。また俺のせい」
呆れ顔の龍貴に、泉夏は声を荒げた。
「あ、あんな事されて。その理由もなんにも言われないまま二カ月も放置されたら、誰だってなんでなのかって思うじゃん!…ってか、そもそも順番が逆なのよっ。した後で…す、好きとかっ」
最初の威勢の良さはどこへやら、最後に近付くにつれ、段々弱まる声。
「…告白してからだよね、普通?」
唇に手を当て、泉夏は確認するように呟く。
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