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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
こんなにいつも側にいて。
こんなにいつも優しくて。
今までどんなに救われてきたか知れない。
昔から身近にいるのが当たり前で。
そのありがたみを、私は全然分かっていなかった。
分かろうとしていなかった。
今頃気付いてる。
先生の事も全部知っていて。
それでもこんな私でいいと言ってくれるのなら。
私は-…。
「お前にとっての俺って、龍貴お兄ちゃんのまま?」
前触れなく問われ、泉夏は彼を見た。
「別にその位置づけが不満なわけじゃないけど。それで十分だけど。一応、訊いてる」
「…違う」
正面を向いたままの龍貴の横顔に、泉夏は言い切った。
「私の中で龍の存在は、明らかに最近変わってきてる」
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