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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
きっと、怒っている。
きっと、悲しんでいる。
きっと、軽蔑してる。
追いかけて来いと自分からけしかけておいて、来たら来たで突き放す。
どれ程の女なのかと、きっと思ってる。
それを考えると、怖くて。
それを考えると、あなたに会わせる顔がない。
化粧室の個室で声を殺す為、何度も何度も使いもしない水を流す。
次に空く個室を待ってる人の気配に、心の中で謝りながら。
暫く泣き続け、やっとどうにか涙を止めたのに。
急いで化粧を直してきたのに。
どうしてもあなたの側まで-歩み寄れない。
拒んだのは自分なのに。
傷付いたのはあなたなのに。
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