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第2章 了見の夏

もし。
万が一にも、その間柄が壊れる時。
それは彼の現在の立場や名声、将来を嘱望されている才能全てと引き換えだ。
そんな事、絶対にあってはならない。
片思いのまま終わる恋－心の片隅にずっとあったけれど。
改めてその揺るぎようのない現実に、気付かされてしまった－。
想うだけは自由。
確かにそう。
でも私、あまりにも先生の事を知りもしない。
あなたの名前。
あなたの年齢。
あなたの職業。
あなたの乗っている車。
あなたのいつも身に着けている腕時計。
あなたの利き手。