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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
涼には一発殴られるだけじゃ済まないだろうなあ-のんびり独り言を呟く龍貴を尻目に、泉夏は遂に観念する。
なんだかんだで(女性には)紳士的な彼なので、まさか何かはされないだろうけど。
「…片思いを、していて」
俯き、消え入りそうな声で。
泉夏は想いを打ち明け始めた。
「好きな人がいて。その人と私、十歳違いで。だから、その…」
-十も年下の女の子なんて対象外もいいとこ。
龍貴に放った自分自身の言葉に、がんじがらめになった。
そうだった。
私、先生と、十歳も離れていたんだった。
それだけじゃない。
自分は学生で、彼は大学の准教授。
彼が常々警戒しているように、その関係が変化する事は決してないのだ。
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