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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
「来てくれて本当に嬉しい。なんて表現したらいいか分からないくらいに」
それでも。
そんな事はどうでもいい。
今ここに来てくれた事だけが全てだと-まるでそう言っているような、微笑み。
ああ、だめ!
その優しさ。
その眼差し。
その笑顔。
初めて恋したあの春から、全然変わってない。
大好きだったその声でそんな風に囁かれたら、またすぐに酔い痴れてしまう。
幾度目か知れない恋に、あっと言う間に堕ちてしまいそうになる。
喜びに危うく顔を綻ばせそうになり-慌てて、表情を引き締める。
今日は、だめ。
もう、だめ-…。
泉夏のその様子に、秀王は一瞬眉を寄せたが-すぐに気付かない振りをした。
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