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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
こんな事になると分かっていたら。
こんな結末になると知っていたのなら。
もっと早く。
もう少しでいいから早く。
どうにか出来たかもしれない。
そうしたら泣かせずに済んだかもしれない。
そうしたら悔やまずに済んだかもしれない。
そうしたら。
もしかしら。
違う未来を-。
三年前のあの春の日に戻りたい。
三年前のあの桜舞う日に戻りたい。
一瞬で自分の目の前に現れた彼女を、離してはいけなかった。
彼女の手を、決して離してはならなかった。
離したら最後、こんなに後悔する。
あまりにも離し過ぎ、こんなにも苦悩している自分がいる。
あの日にそれを知っていたのなら、どんな事をしても離さなかった-…。
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