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第12章 希求の春

頬に触れる秀王の手に、泉夏は自分の手を静かに寄せた。
彼は彼女を静かに見た。
ふたりは無言で視線を繋げる。
何も言わなくても、それだけで分かる。
意を決し。
彼を真っ直ぐに見据え。
遂に泉夏は、はっきりと告げた。
「さよなら、有栖川先生」
さよなら、大好きだった先生。
さよなら、大好きな先生。
さようなら、私のたったひとりの、恋愛の先生－。