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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「…私は」
泉夏は思い悩む。
ここに来た時点で、勿論心は決まっているけれど。
それを伝えに来たのだけれども。
でもそれを口にしてしまうのは、なんだか癪で。
だっていつも自分だけ。
だっていつも自分から。
だって。
だから-。
考えを巡らす泉夏の頬に、秀王の手が触れた。
顎を支えられ、ふたりの視線が合う高さまで顔を上げられる。
あなたの綺麗な顔を、まさかこんなにも間近から見詰める日が来るなんて。
恍惚としていると、更にふたりの距離が明らかに縮まった。
泉夏は慌てて後方に身体を引くが-抱き締められている身では、大して意味がない。
高まる心臓の音が、耳元でどくどくいっている-。
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