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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「ごめん、泉夏-」
自分が情けなくなる。
こんな事をする為に戻って来たのではない。
こんな事をされる為に戻って来てくれたのでない。
ただひとこと想いを伝える為に。
無理だと思ったのに。
叶うはずなどないと思っていたのに。
それを受け入れてもらって。
名を呼ぶ事を。
抱き締める事を許されて。
あまつさえ、口付ける事だって嫌がらずにいてくれたのに。
それ以上の事を願うなんて。
それ以上の事を欲するなんて。
それ以上の事をしようとするだなんて。