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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「気に障る何かを言ってしまったのは分かる。でもごめん…白状するなら、それが何かまでは分からない」
-恥を忍んで訊いてもいい?
言葉を慎重に選んで喋ってくれてるのが、十分伝わってきた。
でも-素直にはなれない。
「やっと泉夏とこうしていられるのに、一度の自分の失言でなかった事には絶対したくない。言い訳でしかないけど…その、あまり誰かの感情を汲み取るのが得意じゃない。でもその事で、泉夏を知らない間に傷付けてしまってた。一番気を付けなければいけない相手なのに」
「…」
「また逢いたい。また逢いたいと言って欲しい。だから教えて欲しい。自分の足りない部分は反省して、泉夏をもう二度と傷付けないようにするから」
-約束する。
真摯に訴えられ、強情な心が解れてゆく。
「後ろからでも抱き締められるけど。でも、泉夏の顔を見ながら…したい」
-だからこっちを向いて? 
乞われ、ぐらつき始める心。
そこを、今一歩踏み止まる。
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