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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
ほのかに霞んだ月が冷えた夜空に浮かぶ、食事を終えた帰り道。
今日ぐらいはとも思ったが-躊躇いがちにお願いをし、コンビニに寄ってもらった。
小さな声で恐る恐る言ってくる泉夏に、秀王は初め少し驚いていたが-やがて申し訳なさそうに微笑んだ。
『ごめん、気が利かなくて』
『えっ?』
『いきなり一晩一緒にいて欲しいって言うのは簡単だけど…その、男と違って、女の子は色々準備が必要だったりするのまでは気が回らなかった』
-ごめんね。
重ねて謝られ、泉夏は慌てる。
『や…その、一晩くらいは我慢しようと思えば出来なくはないんだけど。でもその…』
『我慢だなんて。したい事や欲しい物があるなら遠慮なく言って欲しい。本当は俺が気付いてあげるべきなんだろうけど…この通り、そういう事にはいまいち疎い』
-だから申し訳ないけれど、教えてくれたら凄く嬉しい。
そう乞われ、泉夏は思い切って口にする。
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