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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「うん。勿論」
「ほんとに?」
「ほんとに決まってる。先生に凄く逢いたいもん」
-どうしてそんなに念を押してくるの?
泉夏は不思議そうに秀王を見た。
「私…嘘吐いてそうに見える?」
不安そうに尋ねられ、秀王は笑った。
「ちっとも見えない」
抱いた泉夏の頭へ鼻先を寄せた。
彼女から放たれる濃厚な匂いが、強烈に自らの鼻腔を刺激する。
呆気ないほど簡単に、酔わされてしまう。
どうにか態勢を整え直そうとしているのに、何をしてもすぐにそれに結びついてしまう。
まるで関係のない事を考えて、気を紛らわす以外の方法があったら教えて欲しかった。
「『帰って来たって、絶対逢ってなんかあげない』って、さっきは言われてたから。今度こそは『逢いたい』って返事が欲しかった」
-その確認だ。
からかいを含んだその声に、泉夏は赤くなる。
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