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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
『私もどきどきしてる。こんなにどきどきしてるのに、先生の隣りで眠れるわけないじゃない』
『私だって、先生を見ていたいの。ずっと、ずうっと、見てたいの。先生の声が聞きたいの。ずっと、ずうっと聞いていたいの-』

言っておきながら-泉夏は激しく落ち込んでしまう。
そんな彼女の心情を見透かしたように、秀王は苦笑した。
「確かにいつの間にか眠ってしまっていたけど、それを悪いなんて思う必要は全くない。寝る前にも、色んな話が出来たし。今度帰って来た時には、また会ってくれるって言ってくれた。その時には今日よりももっと沢山、泉夏の話を聞ける。…そもそも無理しないで眠って欲しいって思ってたから、全然平気だ」
「…」
「それに。泉夏が眠ってくれないと絶対見れないものを、さっきまでずっと見ていられた。だからほんとに、俺に悪いなんて思わなくて大丈夫だ」
「絶対見れない…もの?」
なんの事を差しているのか、泉夏は見当もつかない。
答えを促すように見れば-彼もまたこちらを見つめて言った。
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