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第14章 朧夜の春

誰が、こうさせてる？
誰が？
自分は悪くない。
誘うだけ誘っておいて、抵抗しようだなんて－そんな事。
どんなに我慢してると思ってる－？
貪るように唇を求められ－泉夏の身体から徐々に力が抜けてゆく。
飢えた獣のように欲しがり続けられ－その身体は背面から倒れそうになる。
唇は重なったまま、秀王はそんな泉夏の背を支えつつ、静かにベッドに仰向けにさせた。
離れたふたりの口唇に、唾液の透明な橋が渡る。
自分を見上げる彼女の双眸と。
彼女を見下ろす自分の双眸。
弾む息を整えながら、互いに見つめ合う。
そんな熱で潤んだような瞳を向けられたら－だめだった。
だめだとしたら、どうしたらいいのだろう。
どうやって鎮めたらいいのだろう。
こんなになるなんて。
こんなにまでさせられるなんて。