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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「それから…泉夏に触れてもらえるのも」
-凄く、嬉しい。
彼の控え目な告白は面映ゆくあったが-やっぱり、嬉し過ぎた。
「繋いだ手、背中に回してくれる両手、寄せてくる身体…全部が嬉しい。全部が俺の心を温かく満たす。こんな気持ちには誰といたってならない。時間の許す限り、いつまでだって、もっとずっと、泉夏とこうしていられたらって思ってる」
-あとは泉夏とするキスも大好きかな。
最後の付け足しに、思わず彼を見れば-照れ臭そうな笑いを向けられた。
恥ずかしさにどんどん熱くなる頬に手を伸ばし、泉夏も自分の胸の内を晒け出す。
「私も…好き。私も先生と手を繋ぐのが好き。抱き締められると、とってもどきどきして胸が苦しくなる。でもそれは嫌だからじゃないの、好き過ぎて、どうしようなくて、そうなってしまう。先生の胸の中は温かくて、凄く安心出来て…気付いたら本気で眠っちゃってたくらい」
最後は少し決まりが悪く、拗ねた様な口調になってしまう。
「それから-」
一呼吸置いて、泉夏は思い切る。
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