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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
まるで構って欲しくて駄々を捏ねる子供。
だから相手にしてもらえない。
自嘲し、意地でも泣くまいと堪える。
唇をきつく結び直す泉夏の横顔に、秀王はなんと言ったら良いか分からなかった。
乾いた笑いを密やかに漏らす以外は。
何を言いだすのかと身構えたのに。
なのに?
どうしたらそんな事を思って、悩む必要があるのか-まるで理解に苦しんだ。
どんなに卑猥な事を思い描いて。
想像だけでどんなにこの身が危うくなってるか。
知らないからそんな事を。
この心の中が見えたのなら-触って欲しいだなんて。
きっと思ってもらえない。
彼女が望んでいる事と。
自分がしたいと願っている事は-恐らく、大きな差がある。
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