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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
抱き直した泉夏の額に、秀王は自らの口唇を押し当てた。
微かな吐息と。
前髪から伝う、彼女の香り。
決心とは裏腹に、身体はすぐさま疼き始める。
「三カ月は先生にとって短い?」
-それとも、長い?
慌てて他に気を逸らしかけ-彼女が尋ねてきた。
元を正せば自分のせいで、再び遠く離れなければならなかった。
それ故、自分の思いを軽々しく口にするなんて-憚れたけど。
彼女に逢えないのは、それは淋しかった。
秀王は正直な胸の内を吐き出した。
「…長い」
-とっても。
切なさが瞬時に泉夏を包む。
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