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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「今日だけなら我慢する。でも次に泉夏に逢える事が出来るのが三カ月後だなんて…よくよく考えれば、長過ぎだ。なら-」
-きっとそんなには待てないって、思ってしまう。
秀王は自分の情けなさを隠すように、素早く呟いた。
『もしもの話』で、こんなにも興奮している自分。
ちょっと甘言を吐かれたくらいで、何を本気で考えているのか。
『もしも』は絶対、今夜は訪れはしない-。
時間は夜中の三時をとうに過ぎていた。
いつまでもこうして話をしているわけにもいかない。
そろそろ彼女を眠らせてあげなくてはならなかった。
もうこれまでにしよう-秀王が泉夏を促そうとすると、不意に彼女が自分の腕から逃れた。
「泉夏…?」
呼んではみるが、返事はない。
「どうしたの?」
不安を覚える秀王を置き去りに。
泉夏は彼から離れるどころか、ベッドの上から完全に下りた。
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