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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
手にしていたものを、無言で彼に差し出す。
秀王は条件反射的にそれを受け取り-掌に収まる四角い包みに目を落とした。
見覚えはあるが、脳が確定するのに数秒時間を要した。
それがなんであるか-ようやく悟った秀王は、驚きに息を呑んだ。
間、髪を入れずに、隣りに座る彼女を見る。
彼が何を言いたいのか。
何を訊きたいのか。
言わずもがなだった。
どれだけ吃驚されるだろう-予想済み。
それだけじゃなく、もしかしたら誤解されてしまう覚悟も。
凄く勇気が必要だったけど。
でも。
それでも-。
「…い、いつも持ち歩いてるわけじゃないからっ」
こんな事までしておいて今更だけど。
それでも可能ならば信じて欲しかった。
恥ずかしくて仕方がなかったけれど、でも言わずにもいられない。
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