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第14章 朧夜の春

夕食の帰り。
最寄りのコンビニに一緒に入った。
入り口付近の棚で商品を品定めし始めた彼女を、なんの配慮もなく－と言うか、そんな必要がある事すら気が回らずに隣りで眺めていた。
化粧品関係の商品を、両手に取って選んでいた彼女だったが－不意にこちらを向いた。
『じっと見られてると…選びづらい』
少し恥ずかしそうに告げられて、そこで初めて気付いた。
白状するのなら、男の自分が見てたところで特に買いにくいものとも思えなかったが、本人が言うのだからそうなのだろうと理解した。
『すぐに選び終えるから、ちょっと待ってて欲しい』
そう言われ。
店内を回っていようかとも思ったが、再び彼女の迷惑になるのも嫌だったので、特段読みたい何かがあるわけでもなかったが雑誌を捲っていた。
次になんとなく様子を窺えば、彼女は別の商品棚に移動をしていた。
暫しそこに留まっていたようだったが、その次に読みかけの雑誌から顔を上げれば、レジの前だった。