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第5章 恋する乙女

スタンド裏に着くと、速攻タケルにも詰め寄られた。


「おせー！どこ行ってたんだよ！！」

「ごめん！！」


あんたを狙ってる女子に攻撃されてました。笑


「菜月いないからどうしようかと思った…」

「ごめん…来たよ。」

「うん。」


タケルはみんながいる中で、ギュッと抱きしめてきた。


「タケル…みんな見てますけど…」

「俺らのこと知らない奴なんかいないし。いいんだよ。」


中学の頃と違って


心を通わせた今


誰にも邪魔されることはない


「ちょっ…さすがにキスはマズイって！」

「なんで？」

「なんでって…ん〜！」


有無を言わさず塞がれた唇。


ルーティンとはいえ、こんなに激しいとさ…


「顔赤い。なんで？」

「なんでじゃない！あんたのせい！」


あんな濃厚なのされちゃ平静じゃいられないっつーの！


「あ、そだ。テーピングもっかいやって。」

「それ大事だね！」


タケルの膝を守るためのテーピングは、リハビリの先生から直に指導してもらったもの。


どうか今日もタケルの脚を守ってください


願いを込めて、丁寧にテーピングしていく。


「ありがとう。」


そう言って頭を撫でられて


その時に見上げたタケルの顔はもう


アスリートの顔だと思った。


「行ってくる。」

「行ってらっしゃい！」


ピッチに向かう11人の背中


それを見ていたら


思わず涙がこぼれそうになった。