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恋花火***Special Starmine
第5章 恋する乙女
タケルの脚は、きっともう限界のところまで来てるのかも知れない。


「壊れたらそこでやめる。壊れるまではやらせて。」


そう言われちゃったら、私はもう何も言えないよ…。


タケルがどれだけサッカーを愛しているか知ってるから


本当は手加減しながら、膝と相談しながらやってほしい。


だけど手加減という言葉を知らないタケルは、いつでも100%、いやそれ以上の力を出す。


「…今回絶対優勝したい。」

「冬にもっと大きな大会あるのに、今回なの?」

「うん。…だって、陸先輩の最後の試合だから。絶対勝ちたい。」

「…そっか…」


だったらもう


私はその気持ちを応援する。


タケルの精一杯の気持ちを手助けしたい。


「…陸先輩引退とか…やだなぁ…」


そう呟くタケルは、この世のものとは思えないほど可愛くて。


「愛でんな。」

「だって可愛い。」


よしよししてたら、タケルは照れ臭そうにしてた。


選手はミーティングがあるからタケルは監督に呼ばれて


残された私は、ボーッとスタンド裏の天井を眺めてた。


「おい…マジでラブラブじゃねえか…」


そんな呟きが聞こえ振り向くと、さっきの女子高生たちがいた。


「そだよ。ラブラブなんだよ。」

「うわぁムカつく。」


言いながらも顔は笑ってる。


「…私弟がいるんだけど。今年受験すんだって。あんたの高校。」

「へぇ〜そうなんだ。」

「大石タケルに憧れてサッカー始めてさ。」

「タケルに憧れて…?」

「そう。大石くんの出てる試合何度も一緒に見たよ。そのうちに私までファンに。笑」

「そうなんだ。笑」

「だからさ…、伝えておいてよ。弟は大石くんのお陰で生きれたよって。」

「生きれた?」

「そう。小6の時イジメにあって、それから中学でも不登校でさぁ。でもある日テレビで大石くんの試合見て、こうなりたいって思ったんだって。だから命の恩人なんだ。」


予想もしてなかった展開に驚いた。


「しゃーないから彼女に伝言頼むわ。来年もし弟が入部したらよろしくね。」

「わかった。」


女子高生たちは手を振りいなくなった。


胸が…、目頭が熱い。


タケルのプレイで救われた人がいた。


…言えない。


タケルはもうサッカー出来なくなるかも、なんて


言えない…。
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