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優しい愛には棘がある
第1章 ご注文はイケナイ遊戯
「私、も……」
心咲はブランケットから片腕を出して、皐月のさらさらの金髪を撫でる。それから、やはり赤いスーツの袖に覗いた、優しい温度の手首を握る。
「私も、皐月さんが好き。でも、会ったばかりだし、皐月さんも私も、お互いのこと知らないし……」
「だったら」
心咲の心許ない上体が、皐月に強く抱き寄せられた。
潔いほどいなせな声が、耳をくすぐってくる。
「これからは二人きりでデートしようぜ。交際前提。茶でも買い物でもドライブでも、お前に尽くしてぇんだ」
「皐月さん……そんな、私こそ……」
「お前は、ついでのホテルでちょっと尽くせ。な?」
「──……」
二日前は一生分の性感を消費したつもりになったのに、今夜は、一生分の幸福を消費してゆく感覚だ。
心咲は皐月の肩に頬を預けて、自分の未来の恋人に、力強く頷いた。
「よろしくお願いします……私のこと、たくさん知って下さい。私も皐月さんのこと、たくさん知ります」
第1話 ご注文はイケナイ遊戯─完─