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優しい愛には棘がある
第1章 ご注文はイケナイ遊戯
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金髪の女は山内皐月(やまうちさつき)、広告代理店に勤務している会社員だそうだった。
そして侠気な長身の女が里見美奈(さとみみな)、昼間はスポーツジムのインストラクターだ。知的美人は小学校教師で村苑杏(むらそのあんず)、ジャージ姿の女は杏の同僚、分田ことこ(わけたことこ)だ。
全員、大学時代からの付き合いで、今年で二十八才になるという。
自家用車に押し込められ、どこへやら連れてゆかれる間、心咲が絶望的な恐怖の深淵から四人の会話に耳を傾け、頭の中で整理して得た情報だ。
廃れた明かりが僅かに散らばる夜のとばりを走る車は、まもなく平屋の前に停まった。
皐月らの会話を要約するに、ここは元々、公共の物置小屋だった。それが廃棄された後、彼女らの隠れ家となったらしい。
誰かが小さなランプをつけたが、少し視界が開けただけだ。勝手知ったる四人と違い、心咲には、道具のようなものが置いてあるのがぼんやりと識別出来ただけだ。