この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一族の恥
第1章 お母さんへ
「だって、自分がつくったもの食べて大好きな人が生きてるって、すごいことやん?」って。
里奈子のやつ、ぼくに言うたんや。
「堕ろしてこい、いちいち聞かんでも分かるやろボケ」て腹んなかの子供の父親である兄貴に言われたらしいから、素直に言うとおりにしてな。
中絶手術の手続きの書類とか全部もらって帰る、惨めな気持ちの帰り道でやで?
「その人の命が、自分のてのひらのなかにあるような感覚やん?この命は里奈子が預かってるんやって。おなかの中の赤ちゃんがすくすく育ってくような、育てたことないから分からんけど、きっとこんななんかなって想像したら、幸せな気持ちになんねん。お母さんになったみたいで、赤ちゃんを育ててるみたいで、幸せな気持ちに・・・」
泣きながら、そんなことをな。
里奈子のやつ、ぼくに言うたんや。
「堕ろしてこい、いちいち聞かんでも分かるやろボケ」て腹んなかの子供の父親である兄貴に言われたらしいから、素直に言うとおりにしてな。
中絶手術の手続きの書類とか全部もらって帰る、惨めな気持ちの帰り道でやで?
「その人の命が、自分のてのひらのなかにあるような感覚やん?この命は里奈子が預かってるんやって。おなかの中の赤ちゃんがすくすく育ってくような、育てたことないから分からんけど、きっとこんななんかなって想像したら、幸せな気持ちになんねん。お母さんになったみたいで、赤ちゃんを育ててるみたいで、幸せな気持ちに・・・」
泣きながら、そんなことをな。