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一族の恥
第1章 お母さんへ
 里奈子にはほかに女がデキたとでも伝えてくれたらええ。
 俺と別れてくれさえすれば、あとは里奈子が知ろうが知るまいが、どっちでもええねん。
 俺のせいで里奈子の人生に迷惑がかからんよう、今のうちになんとかして他人になりたいんや。


 せやからどうか、頼んます。
 お母さん嘘は苦手やけど、ほかに女がデキたゆうんは、嘘やないしな。


 あんな、お母さん。
 この1年、ぼくな。


 里奈子なんか忘れて、新しい女と暮らしててん。
 そら、楽しい女やってんで。


 綾香ゆうて、ぼくといっしょで夜に働いてる人でな。


 綾香とは飲み屋で知り合ってすぐ仲良くなった。
 付き合い始めてすぐ一緒に住みはじめたんやで。
 5つ年上で35にもなるから腹が三段に波打っとったけどな、それはそれで抱き心地が悪なくてな。


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