この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
The one …ただ一人の…
第10章 卒業式
しばらく、手を繋いで歩いた。
曄良の手が冷たかった。
日向は、手を繋いだまま、ポケットに入れた。
『もう、春来るのに寒いな。』
「そうだね…。」
コーヒーショップの近くまで来て、日向はちょっと寄って行こうと曄良を促した。
カウンターの席に、隣同士で座った。
大きな窓から今にも咲きそうな桜の木が、風に揺れているのが見えた。
曄良がポツリと言った。
「ごめんね。お祝いの席だったのに。私、ちょっと変だったよね。」
『ん。大丈夫だよ。』
日向は、曄良の肩を軽くポンとする。
気にするな。日向の手はそう言っているようだった。
「…昔……。今日と同じような事があって……」
そう言うと少し涙声になった。日向は強く手を握った。
「振られんだ。置き去りにされて、その後、2度と会えなかったの…」
日向は曄良の頬を伝う涙をそっと手で拭った。
「ちょっと、トラウマみたいになってて……ごめん……」
曄良を抱きしめた。髪に顔を埋める。
『辛かったね。』
そっと頬にキスをする。
『思い出させるような事して、ごめん。』
「日向に嫌われたら、生きていけない。」
『嫌わない。オレは例え曄良に刺されても、お前を嫌いにならない。だから、安心して好きでいろ。』
「日向…」
曄良が、日向の肩に手を回す。
「日向を好きになって良かった。」
あの時、振られてなかったら、日向と付き合ってなかったかも…。
『それでも、出会っていたよ。オレはそいつから、曄良を奪ってたよ。絶対にね!』
そう言って、軽くキスをする。
真っ赤になって、日向を見つめる曄良。
瞳は潤んでいた。
曄良の手が冷たかった。
日向は、手を繋いだまま、ポケットに入れた。
『もう、春来るのに寒いな。』
「そうだね…。」
コーヒーショップの近くまで来て、日向はちょっと寄って行こうと曄良を促した。
カウンターの席に、隣同士で座った。
大きな窓から今にも咲きそうな桜の木が、風に揺れているのが見えた。
曄良がポツリと言った。
「ごめんね。お祝いの席だったのに。私、ちょっと変だったよね。」
『ん。大丈夫だよ。』
日向は、曄良の肩を軽くポンとする。
気にするな。日向の手はそう言っているようだった。
「…昔……。今日と同じような事があって……」
そう言うと少し涙声になった。日向は強く手を握った。
「振られんだ。置き去りにされて、その後、2度と会えなかったの…」
日向は曄良の頬を伝う涙をそっと手で拭った。
「ちょっと、トラウマみたいになってて……ごめん……」
曄良を抱きしめた。髪に顔を埋める。
『辛かったね。』
そっと頬にキスをする。
『思い出させるような事して、ごめん。』
「日向に嫌われたら、生きていけない。」
『嫌わない。オレは例え曄良に刺されても、お前を嫌いにならない。だから、安心して好きでいろ。』
「日向…」
曄良が、日向の肩に手を回す。
「日向を好きになって良かった。」
あの時、振られてなかったら、日向と付き合ってなかったかも…。
『それでも、出会っていたよ。オレはそいつから、曄良を奪ってたよ。絶対にね!』
そう言って、軽くキスをする。
真っ赤になって、日向を見つめる曄良。
瞳は潤んでいた。