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The one …ただ一人の…
第11章 親父の企み
「私で、私で良いんでしょうか?」
曄良は、山野辺の顔を真剣に見つめた。

『曄良ちゃん?』

「日向さんは山野辺グループの跡取りです。私は、ハッキリ言って何にもありません。」

『オレは、曄良じゃないと結婚しない。』
日向は曄良の横顔を見つめた。

『曄良ちゃんには覚悟がある。』
でしょ?と山野辺社長は聞いてくる。
「はい。」
曄良は、即答した。
日向は、なんで2人だけで分かり合ってるの?と突っ込みを入れる。

『だから、私は曄良ちゃんが良かったんだよ。きっと日向を取り巻く色んな物が、曄良ちゃんに時には辛く、時には危険にさらすこともあるかもしれない。でも、君なら大丈夫だろ?』

「私、プロポーズを受けた時に決めたんです。これから、何が起きても、日向さんの言葉だけを信じようって。どんなことがあっても、一緒に乗り越えたいです。」

日向はビックリした。曄良がそんな風に考えて、こんな風に覚悟を決めていたなんて。

山野辺社長は、曄良をじっと見つめた。そして、
『曄良ちゃんに、話しておかなくてはならない事があるんだ。日向の母親の事だ。』

『親父、それは…またゆっくり…』
日向が遮ろうとしたが、山野辺社長は話し続けた。
『曄良ちゃんには酷な話になるかもしれないが……』
「大丈夫です。」

山野辺社長は頷くとゆっくりと話し始めた。
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