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The one …ただ一人の…
第11章 親父の企み
そうそう、あと大事な事がもう一つ
と社長は人を呼んだ。

『4月から、日向はここの副支配人として働いてもらう。同時に副社長としても就任する。で、秘書をつけるんだが、女の秘書はいないから安心してくれ。山下!』

「失礼いたします。」

颯爽と入って来たのは、長身のスーツをきた男だった。中々のイケメンである。

「山下と申します。曄良さんは良くこちらのホテルでお見かけしておりました。本当に可愛らしいお嬢様ですね。」

その言葉に一番反応したのは日向だった。
『親父、もっとブサイクな秘書は居ないのか?曄良、ジッと見るな!』

山下はそんな日向の言葉は全く気にせず、曄良の手を取りキスをしようとしている。
しかも日向の顔を見て、明らかに挑発している。

『親父っ!』
「山下、からかうのはその位にしてやれ。」

かしこまりました。と曄良にウインクして手を離す。
曄良はポカンとした顔で見上げている。

あっそうだ。と山下は思い出したように曄良にメモを渡す。

「私の連絡先です。4月から日向さんはかなり忙しくなります。携帯に出られない事もあるかもしれません。緊急の用がある場合は私に連絡を下されば、お繋ぎしますので。」

そのメモには、綺麗な文字で、携帯の番号とアドレスが書かれていた。
そしてその下には、寂しい時はお相手しますよハートマークと書いてある。
真っ赤になった曄良を不審に思い、日向はメモを取り上げた。

『なんだ、このメッセージは!お前、いい加減にしろ!ふざけるな!』

山下の胸ぐらを掴もうとしたが、するっと避けられ、逆に手を捻り上げた。
すごい、この人強い!日向より上手だ。
曄良は、感心した。

『いっ痛っ!離せ。』
暴れる日向を余裕であしらう。

曄良は山下の前に立つと
「日向の事、宜しくお願いします。」
と頭を下げた。
山下は、ニッコリ笑った。
「曄良さんの頼みなら、仕方ありませんね。」
『曄良っ!なんでこんな奴に!チクショウ!』
そうすると、曄良は動けなくなっている日向の頬にチュとキスをする。
山下は、あっと顔を赤くして、日向の手を離す。
日向は面食らった顔をして曄良を見ている。
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