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The one …ただ一人の…
第12章 最強のライバル?
はは、可愛らしいなぁ。そう言って笑っていると、不意に日向が会議室から出てきた。
山下の顔を見て言った。

『曄良からだろ!』
「えっと。」
『お前の顔を見たらわかる。曄良と何を話した!』
「近況報告ですよ。」
『ずるい、お前だけずるい。』
「副社長、会議は?」
『あっ、お前が持っている資料が必要になって。』
「それは、失礼いたしました。では、中へ。」

そう言ってドアをスマートに開け、日向をエスコートする。
日向は渋々それに従う。
そんな日向を見て、思わず笑いそうになり、堪えた。
曄良さんが関わると、本当に仕事が留守になるんだこの人は……。
そんな事を思いながら。


曄良は電話を切って、ニッコリ笑った。金曜日、楽しみだな。そう呟くと、職場へ戻るため足を早めた。


金曜日、日向は書類の整理に追われていた。
全く、この企画書、本当にやる気があるのか?
ブツブツ文句を言いながら、ハンコを押したり、朱書きで訂正を入れている。
不意に内線が鳴った。山下が出る。

「副社長、来客です。一階のロビーへとの事です。」

何なんだ。こんな時間まで来客って、山下のスケジュール管理はどうなってるんだ。
お前、本当にスケジュール管理、もう少し何とかならないのか?と文句を言いながら、エレベーターに乗る。
すみません。と山下は申し訳なさそうに謝る。
ロビーに来た。
日向は目を疑った。
オレはとうとう幻覚が見えるまでになってしまったのか?
近づく。目の前の人が、幻じゃない事がわかる。

『曄良!』

日向は走って行くと、曄良を力一杯抱きしめた。

「日向…少し痩せた?大丈夫?」
『曄良……曄良……本物?』
「本物だよ?」

曄良は微笑みながら言った。

日向はもう一度抱きしめる。

『でも、どうして?』

「ごめんなさい。山下さんに無理にお願いしてしまって。どうしても日向に見せたい物があったから…」

あの時の電話か?日向は山下を見た。

「入社式から今日まで、良く耐えました。ご褒美として、今日は急ぎの仕事もないので、このまま、帰って頂いても良いでしょう。その代わり、明日は残りの仕事、終わらせてもらいますから。」

山下が言うと曄良がビックリして言った。
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