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The one …ただ一人の…
第13章 トラウマの元凶
所長との話が終わると、田城は曄良のデスクに歩いて来た。
曄良の肩に手を置く。
「曄良、ちょっと話がしたい。」
『私は、話すことありません。』
曄良は、パソコンに向かったまま、答えた。
「冷たいなぁ…少しで良いんだ。」
『今、忙しいので。』
田城は眉を寄せ、わかったよ。
と言って曄良の肩から手を放し、ショップを後にした。

「なんなの?今更。」
何故か結城さんが怒ってる。
「しかも馴れ馴れしくない?なんで未だに呼び捨て?やな感じ。」
曄良がクスクスクスと笑った。
『結城さん、ありがと。私の代わりに怒ってくれて。』
曄良ちゃんももっと怒りなさい!と無茶な事を言ってくる。
『私は、大丈夫です。なんかもっと動揺するのかと思ったけど、大丈夫みたいです。』
結城さんは、ニヤニヤ笑った。
「愛されてるもんね。王子様に。」
そう言って、首筋にツンツンとされる。
『結城さん、からかわないで下さいよぉ。こんな所に付けられて、恥ずかしいんですから。』
今朝、日向に付けられたキスマークに手をやる。
全く、日向のバカっ!


『ハックションっ…』
派手にくしゃみをした、日向。
山下は、クスクス笑った。
「昨日、どんだけ裸でいたんですか?全く。」
『はぁ?うるさいなっ。しょうがないだろ、久々だったんだからって、何言わせるんだよ!全く!』
山下は、後で風邪薬、買っておきますね。と笑いながら言った。


昼休み、曄良は日向に留守電にメッセージを残すと、ショップの外に出た。

急に腕を掴まれ、振り返ると、そこに居たのは田城だった。
「あの、離して下さい。」
『嫌だ。』
「困ります。こういう事されると。」
『食事くらい付き合え。久しぶりに会ったんだから。』
そう言って、腕を引っ張られる。凄い力。この人こんなに力、強かったっけ?
力を入れて抵抗する曄良に田城は言った。

『あの日から、二度と投げられないように鍛えたんだ。無理だよ。力では、反抗出来ない。』

曄良はムッとしながら、半ば無理矢理引っ張られ、近くのカフェに連れて行かれた。
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