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The one …ただ一人の…
第15章 婚約者
「あーすっかり遅くなっちゃった。」
曄良は残業を終え、職場を後にした。
渋谷の駅に歩いて行くと、不意に人とぶつかった。
「あっ、ごめんなさい。」
『あ、こちらこそ、すみません。』
青白い顔をしたその女性は、今にも倒れてしまいそうだった。
「大丈夫ですか?」
曄良は、声を掛けた。
『ええ、少し休めば大丈夫です。』
そう言って、フラフラする女性を、曄良は放って置けなかった。
「送りますよ?」
『え?本当ですか?』
そう言って、指定された場所は日向のオフィスがあるホテルだった。彼女はそこで、人と待ち合わせているという。
『電話します。送ってもらうって。』
頷くと曄良は、タクシーを拾いに行く。
タクシーを停めると彼女を乗せて、自分も乗った。
『すみません…』
「気になさらないで下さいね。」
曄良は優しく微笑んだ。
「今日はお泊りですか?」
彼女は、ええと言って微笑んだ。
『私の婚約者が働いているホテルなんです。』
あら、私もと言いそうになって、止めた。
もうすぐで着く頃だった。
『副社長、してるんです。彼……』
曄良は聞き間違いだと思った。
あのホテルの副社長は日向だ。なんで?
『どうかされました?』
曄良は動揺を隠しながら、考えを巡らせた。
「私、仕事柄、あのホテルで結婚式させてもらうんです。副社長さんにも何度かお会いしていて。」
カマをかけた。
『日向を知っているんですか?』
曄良は、何かが音を立てて崩れて行く。
「ええ。」
『カッコいいでしょ?彼?』
曄良は心臓が止まりそうだった。
タクシーが停まる。2人で降りると彼女は言った。
『彼に、手を出さないで……早瀬曄良さん。』
その女性は、フフと笑いながらホテルへ入って行く。
曄良の視線は彼女を追った。
エントランスの中央で、日向が立っている。
その女性は日向に抱きついた。
曄良は、叫びそうになる口を押さえ、後ずさった。
そのまま、曄良は全速力で駆け出した。
曄良は残業を終え、職場を後にした。
渋谷の駅に歩いて行くと、不意に人とぶつかった。
「あっ、ごめんなさい。」
『あ、こちらこそ、すみません。』
青白い顔をしたその女性は、今にも倒れてしまいそうだった。
「大丈夫ですか?」
曄良は、声を掛けた。
『ええ、少し休めば大丈夫です。』
そう言って、フラフラする女性を、曄良は放って置けなかった。
「送りますよ?」
『え?本当ですか?』
そう言って、指定された場所は日向のオフィスがあるホテルだった。彼女はそこで、人と待ち合わせているという。
『電話します。送ってもらうって。』
頷くと曄良は、タクシーを拾いに行く。
タクシーを停めると彼女を乗せて、自分も乗った。
『すみません…』
「気になさらないで下さいね。」
曄良は優しく微笑んだ。
「今日はお泊りですか?」
彼女は、ええと言って微笑んだ。
『私の婚約者が働いているホテルなんです。』
あら、私もと言いそうになって、止めた。
もうすぐで着く頃だった。
『副社長、してるんです。彼……』
曄良は聞き間違いだと思った。
あのホテルの副社長は日向だ。なんで?
『どうかされました?』
曄良は動揺を隠しながら、考えを巡らせた。
「私、仕事柄、あのホテルで結婚式させてもらうんです。副社長さんにも何度かお会いしていて。」
カマをかけた。
『日向を知っているんですか?』
曄良は、何かが音を立てて崩れて行く。
「ええ。」
『カッコいいでしょ?彼?』
曄良は心臓が止まりそうだった。
タクシーが停まる。2人で降りると彼女は言った。
『彼に、手を出さないで……早瀬曄良さん。』
その女性は、フフと笑いながらホテルへ入って行く。
曄良の視線は彼女を追った。
エントランスの中央で、日向が立っている。
その女性は日向に抱きついた。
曄良は、叫びそうになる口を押さえ、後ずさった。
そのまま、曄良は全速力で駆け出した。