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The one …ただ一人の…
第16章 男のプライドと…
『悪かった。ごめんな。』
曄良は俯いたまま、渉に手を取られ歩いていた。
『機嫌直して、展望台行こうよ。』
曄良の足が止まる。
「ごめん。展望台行けない。」
『もう、そんなに意地悪言うなよ。』
と渉は困った顔をしている。
「あっ、そうじゃなくて、高い所、苦手なの…。」
そう言って俯く。
『アイツと来たのか?』
不意に、渉の低い声がしてビックリして顔を上げた。
『アイツと行ったんだろ。展望台。』
「あっ……ごめん……なさ…い。」
渉は、曄良の手を強く握る。
怒っちゃったのかな…ごめんね。渉くん。
心の中で呟くと、渉を見上げた。
『違う場所にしよう。浅草にしようか、こっから近いし。』
急に明るい声になった渉からの提案に、少し驚いていると。
『なんか、思い出とか、あるんだろ?気が利かなくて、ごめんな。』
渉が言った。
曄良は涙が溢れた。
「渉くん、私に優しくしないで。私…」
『優しくされたら、僕に心変わりしそうだから?』
潤んだ瞳で渉を見上げた。
渉は、曄良の肩を抱き、ポンポンとする。
『ごめん。意地悪な質問だった。忘れて。』
そういうと優しく笑う。
「渉くん…」
さっ、行こう。浅草の食べ歩きもしてみたかったんだ!と嬉しそうに言いながら、曄良の手を取って歩き出した。
その時、曄良はまだ気づいてなかった。
渉の心の中の黒く渦巻くモノに。
日向は、曄良のGPSが動き出したのを確認し、ワインを飲んでいた。
もう、仕事にならなかった。
山下に謝って、ホテルのBARに来ていた。
『ダメだ。気になってしょうがない。』
そう言って、グラスを空ける。
呑んでも呑んでも酔えない。
スカイツリーの後は、浅草か。
今の所、連れ込まれたりはしてないみたいだ…なっ、何を心配してるんだ。
観光案内って言ってたじゃないか。
曄良を信じてる。だから大丈夫。
でも、アイツが無理矢理…
日向は頭を振った。
『すいません。ウイスキー、ロックで。』
ダメだ。オレは大人にはなれないよ。曄良……。
そう言って、携帯を取り出した。
曄良は俯いたまま、渉に手を取られ歩いていた。
『機嫌直して、展望台行こうよ。』
曄良の足が止まる。
「ごめん。展望台行けない。」
『もう、そんなに意地悪言うなよ。』
と渉は困った顔をしている。
「あっ、そうじゃなくて、高い所、苦手なの…。」
そう言って俯く。
『アイツと来たのか?』
不意に、渉の低い声がしてビックリして顔を上げた。
『アイツと行ったんだろ。展望台。』
「あっ……ごめん……なさ…い。」
渉は、曄良の手を強く握る。
怒っちゃったのかな…ごめんね。渉くん。
心の中で呟くと、渉を見上げた。
『違う場所にしよう。浅草にしようか、こっから近いし。』
急に明るい声になった渉からの提案に、少し驚いていると。
『なんか、思い出とか、あるんだろ?気が利かなくて、ごめんな。』
渉が言った。
曄良は涙が溢れた。
「渉くん、私に優しくしないで。私…」
『優しくされたら、僕に心変わりしそうだから?』
潤んだ瞳で渉を見上げた。
渉は、曄良の肩を抱き、ポンポンとする。
『ごめん。意地悪な質問だった。忘れて。』
そういうと優しく笑う。
「渉くん…」
さっ、行こう。浅草の食べ歩きもしてみたかったんだ!と嬉しそうに言いながら、曄良の手を取って歩き出した。
その時、曄良はまだ気づいてなかった。
渉の心の中の黒く渦巻くモノに。
日向は、曄良のGPSが動き出したのを確認し、ワインを飲んでいた。
もう、仕事にならなかった。
山下に謝って、ホテルのBARに来ていた。
『ダメだ。気になってしょうがない。』
そう言って、グラスを空ける。
呑んでも呑んでも酔えない。
スカイツリーの後は、浅草か。
今の所、連れ込まれたりはしてないみたいだ…なっ、何を心配してるんだ。
観光案内って言ってたじゃないか。
曄良を信じてる。だから大丈夫。
でも、アイツが無理矢理…
日向は頭を振った。
『すいません。ウイスキー、ロックで。』
ダメだ。オレは大人にはなれないよ。曄良……。
そう言って、携帯を取り出した。