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The one …ただ一人の…
第16章 男のプライドと…
人力車に乗って、観光案内してもらって、団子や煎餅を食べ歩きしながら歩いて、少し休憩と言って、カフェにいた。
「ちょっと、化粧室に行ってくるね。」
『うん。待ってる。』

曄良が化粧室に席を立つと、曄良のカバンから携帯のバイブの振動がした。
渉は、思わず見てしまった。
アイツからだ。

『曄良、会いたい。話したいよ。
今、ホテルのバーにいる。』

そして、すぐまたメッセージが来た。

『明日の朝でもいい。会いたい。』

渉は、最初のメッセージを削除した。そしてこっそりカバンに戻した。
そして自分の携帯を取り出し、電話を掛ける。
「あっ、もしもし、ちょっと頼みたい事があるんだけど…」

曄良が戻って来ると、渉はニッコリ笑った。
『そろそろ行こうか?』
「うん。」
『まだ夕飯には早いから、少しドライブでもしようか?』
「ドライブ?」
そうだよ、行こ?渉はそう言って手を差し出す。
曄良は戸惑いながら、手を握る。
ニッコリ笑う。この笑顔が…ズルい。拒めなくなる。
車に着くと助手席にエスコートされる。
渉は運転しながら、手を握ってくる。
曄良は戸惑いながら、視線を窓の外にやり、景色を見つめていた。


日向はバーで、虚ろな目をして、パソコンに目をやる。
GPSは移動のスピードが速いから、多分車で移動中なんだろう。
根負けして、曄良にメールをしてしまった。
返信はまだ来てなかった。
すみません。お代わりを。
と注文していると、隣から声がした。
飲み過ぎじゃない?あなた?と
目の前に置かれたウイスキーを呑んだ瞬間、日向は急激な眠気に襲われた。
「ふふふっ…」
女の笑い声が遠くで聞こえていた。
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