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The one …ただ一人の…
第16章 男のプライドと…
「曄良っ!信じてくれ!オレを信じてくれ!」

日向は大声で叫んだ。

『往生際が悪い!曄良は僕がもらう。』
渉はそう言うと、車に乗り込み、走り去っていった。

「曄良っ!」

日向はひたすら後悔をしていた。
記憶無くす程、なんで呑んだ。
チクショー!そう言うと、その場に座り込んだ。


山下は、部屋に残った女に、着替える様に促した。
そして低い声で言った。
『誰に頼まれた?』
「なんのことかしら?」
女は真っ赤なワンピースを拾い上げ、身に付けた。
山下に背を向け、
「ファスナー、上げてくださる?」
と言った。
近寄ると、女は山下に抱きつこうとする。

『ふざけるな!』
女の腕を捻り上げると後ろ向きに壁に押し付けた。

「ちょっ!痛いっ…!やめてよ!」
『誰に頼まれたか言え!』
さらに捻り上げると女は叫ぶ様に言った。

「知り合いに頼まれたのよ!薬盛って眠らせて、この部屋に来て一緒に寝ろって!」
『知り合いって誰だ!』
腕は既に変な方向に向いて、女の顔が歪んでいる。
『早く言わないと、腕、折れるぞ。』
キリキリと捻り上げる。
「渉っ!廣瀬 渉よ!」
「男は好きにして良いって言われたから、色々イタズラしたけど、全く反応なしよ!初めてよっ、こんな仕打ち!」

ああそうだろうな。
と言って、ファスナーを上げてやると、女の耳元で囁くように言った。

『あんたには、俺も勃たないよ!』

女の腕を解放してやると、女は真っ赤な顔をして部屋から逃げるように出て行った。


「ずいぶんと、汚い手を使うんですね……」
山下は唸る様に言うと、日向のパソコンを持って、エレベーターに乗り込んだ。

山下は1階に着くと、日向を探した。
案の定、ロビーの椅子に頭を抱えて座っていた。

「日向さん!」
日向は、ゆっくりと顔を上げる。
「曄良さんは?」
『渉と……』
やっぱり、そう言うシナリオですか。
そう呟く山下を日向は見上げた。
『どういう事だ?』
「あの女を仕込んだのは渉です。薬を盛って眠らせたと、あの女を締め上げて聞き出しました。」

『えっ?』

「大丈夫、何もなかったんですよ。あの女とは。」

『はあーーーっ。可笑しいと思ったんだ。』

オレは、曄良と出逢ってから、他の女に全く反応しなくなってた。
接待と称して、変な店に連れて行かれた時も、全く反応しなかった。
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